住んでみぃね!ぶちええ山口|山口県YY!ターン(UJIターン)・移住支援サイト

YY!ターンセミナー

2022年イベントレポート(第6回)

  • 2022.12.19

2023年2月4日開催 山口ではたらくpart.2
〜アトツギ大募集! 創業&事業承継のススメ〜

今年度の「YY!ターンカレッジ」は「やまぐちへの入口」をコンセプトとして、「やまぐち暮らし」の魅力を発見していただいています。
第6回目となる今回のテーマは「山口ではたらくpart.2〜アトツギ大募集! 創業&事業承継のススメ〜」。山口県へIターンし、和菓子店を引き継がれた明日香さんをゲストにお招きし、中山間地域での経営や事業承継等について話していただきました。

「50年続いた和菓子店を承継し、自分らしい働き方を実現」

◉明日香 加代さん

2006年に山口県に移住された明日香さんは、子どもの頃の夏休みに、ご両親の出身地である自然豊かな四国で過ごされたことから、ずっと田舎暮らしに憧れていたそうです。そんな明日香さんが現実的に移住を考えるようになられたきっかけは、1995年の阪神・淡路大震災でした。

当時、奈良県にお住まいだった明日香さんは、用事があって震災の1週間後に神戸を訪れ、被災したまちの様子に大きなショックを受けられました。人や建物が密集する場所に住むのは危険だと痛感され、より一層静かな田舎まちに移住したいという思いが強くなられたそうです。それからは長野県、山梨県、大分県、宮崎県など移住の地を求め、いろんな場所を訪ねられました。

明日香さんと山口県のご縁をつないだのは、ご主人の叔父様で、山口市阿東に改修した古民家があるから住んでいいよと声をかけてくださったそうです。現地に足を運んだところ、「私の四国の叔母が住む辺りになんとなく雰囲気が似ていました」と阿東の景色に魅了され、移住を決められました。

移住後、明日香さんのご主人は自宅でIT関係のお仕事をされ、明日香さんご自身は出産を機に退職されていましたので、しばらくは育児に専念することになりましたが、この時にお二人は「いつか山口市阿東で何か商売をする」と決められたそうです。

また、古民家にはお風呂がなく、明日香さんは毎日、阿東にある願成就温泉に通われていました。そこで出会われたのが、後に事業承継することになる「おさき製菓」の尾崎さんでした。そこで、商売について相談したり、アドバイスをいただくようになったそうです。そして、子育てが一段落したある時、「おさき製菓」が50年を区切りに店を閉めるという話を聞かれました。

明日香さんは「辞めるなら建物を貸して欲しい!」と尾崎さんに直談判。話し合いを続ける中、建物だけでなく事業ごと承継することになったそうです。そこから1年間、明日香さんは尾崎さんのもとに弟子入りし、菓子作りを学ばれ、その中で、尾崎さんから「商売をするのはしんどいこと。休日をきちんと決めておかないと長く続かない。借金はせず、儲からなかったらすぐに辞められるような形でやりなさい」とアドバイスをもらわれたそうです。また、「先代は『商売は牛のよだれ』と表現され、細く長く、大儲けはできないよ。骨身を惜しまず一生懸命やりなさいと言われます。大きな商売を目指していない私とすごく価値観が合うなと思い、本当にいい方と出会えたと思いました」と明日香さんは話されました。明日香さんにとって尾崎さんは、菓子作りだけでなく、経営のことやご近所付き合いについても教えてくださる師匠なのだとか。

明日香さんは修行と並行して起業塾にも通い、1年後、念願のお店を「葉葉堂」としてオープンされました。「オープンから8年、未経験者の私が続けることができたのは、『おさき製菓』の50年間の実績と先代のサポート、国道9号線沿いという立地の良さ。そして、提供する商品の数を限定し、週に金・土・日・月曜日の4日間の営業にするなど、一人で無理なくできる範囲の小さな経営をしていることが挙げられる」と教えてくださいました。

明日香さんは「事業承継をするにあたり、大切なのは受ける側と渡す側とのマッチング」と伝えられ、最後に、「事業承継は焦らず、ご自分に合うものに出会うまで、じっくりとやわらかいスタンスで探してみることをお勧めします」とアドバイスで締めくくられました。

山口市阿東に移住し、地域で親しまれていた和菓子店を事業承継された明日香さんが憧れの田舎でのびのびと暮らされ、生き生きと働かれている様子が伝わってくるセミナーとなりました。ちなみに、店名の「葉葉堂」は、ブナの新緑の勢いにあやかろうと名付けられたそうです。店舗は中国山地の麓にあり、山にはブナの原生林が残っているそうで、明日香さんは新緑の様子に何度も勇気づけられているのだとか。これから先もそのブナのように、明日香さんと「葉葉堂」が山口市阿東に根を張り続けていくことを願っています。

明日香 加代(あすか かよ)氏

画像:明日香 加代(あすか かよ)氏

葉葉堂 店主
大阪市出身。結婚当初より、移住先を探していたが、阪神淡路大震災を経験し、移住への思いがより強くなる。2007年、御主人の親戚が改修された古民家へ住むことになり、山口市阿東へIターン。地域で親しまれていた「おさき製菓」の経営者家族と出会い、中山間地域でのお店経営のノウハウについて学ぶ。「おさき製菓」が創業50年での閉店を機に、継業を志願。2014年10月、「葉葉堂」としてオープンさせる。

一覧に戻る