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移住者体験談

小林 健児

子どもの頃から憧れた海の仕事で、今もワクワクする毎日です。

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小林 健児

漁師になるまでのいきさつを教えてください。

私は奈良県の出身なのですが、みなさんご存知の通り奈良県には海がないので、子どもの頃から人一倍海への憧れが強かったんです。それでも学校を卒業してからは、地元の奈良で電気関係のサラリーマンをしていました。当時はまだ漁師という仕事を、自分の仕事としてイメージできていませんでしたので、特に疑問も持っていなかったと思います。ところが、サラリーマン生活でお世話になった先輩の定年後の姿を見て、仕事がなくなった後のサラリーマンの悲哀みたいなものを感じてしまったんです。そんな時に自分が憧れていた海で、定年もなく自分がやりたい限り続けられる仕事ととして、漁師への思いが沸々と湧き上がり、転職を決意しました。実際に漁師になった今でも、大自然と向き合い昔からの人の営みである「獲物を獲る」という行為がとても魅力的で、海の匂いに毎日ワクワクしています。

今のお仕事について教えてください。

山口県漁業協同組合吉佐支店向島支所というところに所属しており、防府天満宮で有名な防府市の南に広がる瀬戸内海が主な漁場です。初夏から夏の終わりまでは底引きでのハモ漁が中心です。防府市沖の瀬戸内海はハモの好漁場でたくさん水揚げできますし、質もいいので関西方面を中心に出荷されています。秋から冬にかけては、タイやヒラメなどを底引き網で狙います。時には港から片道数時間かけて、大分と愛媛県の間の豊後水道くらいまで漁に出掛けます。驚くほど多様な魚種が取れますから、魚好きにはたまらないです(笑)。

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漁師さんってハードなイメージなのですが、働き方はいかがでしょう?

狙う魚種にもよりますが、今はハモ漁の最盛期で、夜行性のハモを獲るために、夕方に出港して朝方に港に帰ってくる生活です。毎日漁に出る前にその日の戦略を練るんです。その日の潮の流れや水温やこれまでのデータを元に考えて網を入れて、その網を引き上げた時に狙った魚でいっぱいだったら、それはもう最高です。それぞれが自分の船を持っているので、船の上では一人なのですが、無線や携帯電話で連絡を取り合いながら働いています。昼夜逆転というと大変そうに聞こえるかもしれませんが、慣れれば案外平気です。それよりも、夏場の漁は暑さや湿気の方が大変です。海の上なので夏は気持ち良いと思っていたのですが、船に冷房はないですし、夜通しの作業は汗と熱気で思っていた以上にきつかったです。だいぶ慣れましたが、これを70歳過ぎてやっているベテラン漁師さんには頭が下がります。冬場の漁は風が強く海に出られない日もあるのですが、瀬戸内なので、皆さんが想像しているほどの荒れた海ではありません。魚種は冬の方が豊富でかつ高く買ってもらえる魚が獲れるため、割と忙しくしています。まとまった休みは春と秋に取るようにして、その時に船の整備などをしています。どちらにしても漁師の仕事は海次第なので、まさに水商売です(笑)。漁に出られないときは網の修繕もしますが、趣味の山登りに行ったりして自由に過ごしています。時間が自分次第で自由に使えることが、漁師の仕事の大きな魅力ですから。

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これから漁師を目指す方々に何かメッセージをお願いします。

実は私は、山口県以外でも短期研修を受けたことがありますが、そこに比べても山口県の支援は手厚いと感じました。それに私は山口県に縁もゆかりもなかったので、住まいを探すことから始まったのですが、今所属している組合の方が一緒になって探してくだっさりして、本当に良くしてもらいました。制度だけでなく、迎えてくれる人々が温かいのも魅力でしょうか。
また、特にここ数年感じるのですが、海の中が大きく変わりベテラン漁師さんの経験や勘が通じなくなってきています。獲れる魚種も変化しており、例えばエビやカニは私が漁師になってからでも大きく減っています。これだけ聞くと海がピンチのようにも聞こえますが、一人当たりの漁獲量はそこまで変わっていません。今は機材もあるので、データを見ながら私たちのような若い漁師でもやっていけるチャンスはあります。実際にうちの漁協でも若いメンバーが増えています。いずれも後継というわけではなく他の仕事から漁師になった人たちです。
先ほども言ったように、漁師は海の上では一人なので、自然の中で自分の力を試してみたい方には、おすすめの仕事ではないでしょうか。

小林 健児さん

こばやしけんじ/防府市在住

山口県漁業協同組合吉佐支店向島支所

自己責任の下、独立経営をしたいとの思いがあり、アウトドアを趣味としていたことも高じて、漁師を志望。山口県の手厚い支援策に惹かれ、奈良県から移住。

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