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移住者体験談

茂呂居 諭

生活環境も子育て環境も申し分なし! もっと早く移住すれば良かったなと思います。

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  • 漁業
茂呂居 諭

以前はどのようなお仕事をされていたのですか?

都内にある住宅メーカーの造園部門で、現場監督を担当していました。その当時は、埼玉の自宅を朝6時に出て、深夜2時すぎに帰宅するという忙しい毎日を送っていました。家には寝るために帰るだけで、家族とはほとんど顔を合わせることがありませんでしたね。まだ小さかった長男からは、「次はいつ来るの?」と聞かれる始末(笑)。あのときの衝撃は今でも忘れられません。息子にとって、自分は父親ではなく、完全に部外者なのだと思い知らされました。その頃から、このままではいけないなと考えるようになりましたね。造園の仕事は好きでしたが、労働時間や給与などの待遇面を考えると、転職も視野に入れた方が良いかなと思うようになりました。

漁師になろうと思われたきっかけは?

実は、長男の夢が漁師になることだったんです。漁師になるためにはどうすればいいのかをインターネットで調べるうちに、都内で開催される新規漁業者の就業支援フェアのことを知りました。そこで、息子の代わりにと思い、軽い気持ちで参加したんです。山口県は、他県と比較して、研修や支援の制度がかなり充実していましたし、漁船の乗組員を募集する雇用型ではなく、自分の船を持つことができる独立型の募集をしていたことにも強く惹かれました。どうせ転職するんだったら、今までのように人に雇われる立場ではなく、独立してやってみたいという思いもあり、山口県で漁師になることを決めました。こうしてニューフィッシャーとして、平成23年度から山口県漁業協同組合光支店の指導の下で研修を受けることになりました。長男からは「俺より先に漁師になってズルい」と言われましたね(笑)。

画像:山口県へのIターンで開業・創業した先輩 仕事風景 その2

ご家族の反応はいかがでしたか?

妻は不安を感じていたようで、最初は強く反対されました。そこで1年目は、埼玉に家族を残したまま、単身赴任で研修を受けることにしました。研修2年目に入ったところで、なんとかここで暮らしていけそうだと判断し、一軒家を借りて家族を呼び寄せ、一緒に暮らすようになりました。

漁師のお仕事はどうですか?

2年間の研修期間を経て、漁師として独立しました。現在、小型底引き網漁を中心に、素潜り漁やタコつぼ漁、カゴ漁などを行っています。漁に出る回数を増やしたり、季節に応じて複数の漁を組み合わせたりと、自分なりの工夫が水揚げに直結するので、とてもやりがいがありますね。やる気さえあれば、どんどん可能性が広がる魅力的な仕事だと思います。また、卸先や需要のことを意識しながら、魚をとるように気をつけています。これは、サラリーマン時代に培った経験が生かされているのかもしれません。仲卸業者さんとのコミュニケーションを図るために、市場に出荷するときは「このカニは内子が入っておいしいよ」など、魚の情報を一言添えるようなこともしています。「あなたのところの魚しか買わないよ」と、私を信用して買ってくださる方も多いので、とてもありがたいですね。それに、同時期に自分とほぼ同世代の研修生が何人もいたことも、いろいろな面で心強かったです。良きライバルであり、良き相談相手にもなりました。

移住されて一番良かったことは何ですか?

家族と一緒に過ごす時間が増えたことです。子どもたちとの距離も縮まり、触れ合うことも多くなりました。それに、父親が仕事をしている姿を見せられるのは、子どもたちに何かしら良い影響を与えているのではないかと思います。長男は、私が受けていた研修制度を利用して、漁師になるための勉強をしているところです。家でも仕事場でも四六時中顔を合わせているので、うっとうしいと思われているかもしれませんね(笑)。

画像:山口県へのIターンで開業・創業した先輩 仕事風景 その3

光市の良いところは、どこだと思われますか?

海と山の距離が近くて、自然が豊富なところです。それに、田舎すぎないところも良いですよね。病院やスーパーの数も多いので、とても暮らしやすいと思います。また、治安も良く、地域全体で子どもたちを温かく見守ってくれるので、子育ての環境としても申し分ないと思います。近所の方々が気軽に声をかけてくださったり、野菜や料理を頻繁に差し入れしてくださったり、良い意味でおせっかいな人が多いのも光市の良いところです。息子がどこで何をしていたかという情報も自然と入ってきますしね(笑)。地域の中で孤立することがないので、妻も子育てのストレスを感じにくいようです。子育てのことを考えると、もっと早くに移住すれば良かったなと思います。

移住を考えている方へ、何かアドバイスはありますか?

物が溢れている都会で生活していると、つい「あれも欲しいこれも欲しいと思いがちですが、無ければ無いなりに暮らしていけるものです。むしろ田舎の方が、家族や地域の人とのつながりとか、人間として大切にしたいものが見えてくるような気がします。また、光市は移住者同士の交流も盛んで、地域活性化につながるさまざまなアイデアを出し合っています。移住者だから見えることやできることは、まだまだたくさんあるような気がします。

画像:山口県へのIターンで開業・創業した先輩 仕事風景 その4

これからの夢や目標をお聞かせください。

水産物を使った加工品の製造・販売、異業種と連携した新商品の開発などに取り組んでいきたいと思います。ここで獲れる魚をたくさんの方に食べてもらい、そのおいしさを感じてもらえたらうれしいですね。個人的な夢としては、いつか新船を造りたいなと思っています。息子には負けられないので、いつまでも現役で漁を続けていきたいですね。

茂呂居 諭さん

もろい・さとし/光市在住

群馬県出身。埼玉県の専門学校を卒業後、大手ハウスメーカーの造園部門に勤務。東京都で開催された漁業就業フェアの参加をきっかけに、漁師への転身を決意。2011年に山口県光市へIターン。ニューフィッシャーとして2年間の研修を受け、2013年に独立。山口県漁業協同組合光支店組合員。

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