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移住者体験談

ドゥマンジュ ニコラ湧太

頑張っていることを見つけてもらえる。都会とは違った可能性があります。

  • 岩国市
  • ドゥマンジュ ニコラ湧太
  • 就職
ドゥマンジュ ニコラ湧太

Iターンされるまでの経緯を教えてください。

僕は東京都出身です。中学校3年間は長野県で暮らしていましたが、その後の高等専門学校や就職は東京でした。食品関係の会社で働いていましたが、28歳の時に陶芸家を目指すことを決め、愛知県の名古屋高等技術専門校窯業校という職業訓練校に1年間通いました。
山口県に移住したのは、職業訓練校を卒業した先輩からの紹介があったからです。岩国市に薪窯(まきがま)があり、生活と作陶に関するサポート付きで、若い担い手を探しているという話でした。僕自身、薪窯での作陶を目指していましたし、通常であれば、アルバイトなどで生計を立てながら陶芸を続けなければならないところを、生活面のサポートもあるのはありがたい話でした。職業訓練校を卒業後、岩国市で窯のオーナーが管理されている古民家に引っ越しました。元々、愛知県に引っ越した段階で1年後は引っ越すことが分かっていたので身軽な状態でしたし、移住自体はとてもスムーズに進みました。

陶芸家を目指したきっかけはなんですか?

初めて陶芸に触れたのは中学生の時で、山村留学で長野県の中学校に通っていました。山村留学というのは、都会の子どもが田舎に移り住み、学校に通いながらさまざまな体験を積むというものです。中学校の近くに薪窯を焚いている陶芸家の方がいらっしゃって、その作業の様子に興味を持ったのがきっかけでした。僕も見よう見まねで土を掘ってきて、練ったりしていた思い出があります。
と言っても、その頃から陶芸家を目指していた訳ではなく、数年前までは中学校時代の気持ちを忘れていたぐらいです。でも、陶芸への興味はずっとありました。美術展に行くと焼き物の作品に惹かれ、趣味で食器を集めたりしていました。そうしているうちに、中学校時代の思い出も蘇ってきて、だんだんと陶芸への思いが強くなっていきました。
もちろん、すぐに陶芸家として生計が立てられる訳ではないでしょうし、理想とする作陶ができるのか、本当に陶芸家を目指すのか、しばらく悩んでいましたが、「とりあえずやってみて、いろいろ模索しながら考えよう」と覚悟を決めました。その後、職業訓練校に入学したのですが、その時はこんなにすぐに、それも自分がやりたかった薪窯で作陶に没頭できる日々が来るとは思っていませんでした。良縁に感謝しています。

インタビューを受けるドゥマンジュ ニコラ湧太さん

「アートの郷 薪窯研究所」について教えてください。

僕が作陶させてもらっている「アートの郷 薪窯研究所」は、「通化寺窯」が前身で、周東町の通化寺というお寺の境内にあります。元々は、僕の師にあたる田村悟朗先生が30年以上前、萩市から岩国市にやって来た際に開かれました。田村先生がご高齢になり、しばらく窯に火が入ることはありませんでしたが、2020年に現在のオーナーである小田上さんが窯や作業場を買い取り、名前を変えて再スタートされました。僕もギャラリーの壁に漆喰を塗ったり、改修作業を一緒にしました。
薪窯での焼成は、古くから行われている方法ですが、大量の木材を必要としますし、長い時間、窯の番をするために人手も必要です。焼成技術の発達や、暮らしから木材が遠のいていったことで、薪窯は少しずつ減ってきています。そんな中で、時代に沿った薪窯焼成の伝統を持続できる形を模索していこうと考えられ、「薪窯研究所」と名付けられました。現在は、安価な木材を使った焼成を試してみたり、陶芸教室や作品展を通じて薪窯、焼き物の魅力を発信しています。また、オーナーの小田上さんは、僕が住んでいる古民家の管理など、若い陶芸家が作陶に集中できる環境を整えてくださっています。

画像:アートの郷 薪窯研究所の象徴であり、作品作りに欠かすことの出来ない薪窯

現在の暮らしについて教えてください。

通常は朝9時から夕方5時まで、作業場で過ごしています。今年初めて作品展に参加し、少しずつ作品を見てもらう機会が増えてきていますが、まだまだ修行が必要。先生の指導を受けながら、陶芸の技術を磨いています。
山の中なので騒音もなく、豊かな自然の中で作業に集中できています。また、作業場がお寺の境内にあるので、地元の方がお参りのついでに作業場やギャラリーを見に来られます。秋は紅葉を見に来たついでに寄ってくださることもありますね。静かだけど人との交流もあり、良い環境だなと感じています。
地方とは言っても、山村留学していた中学校時代に比べたら全く不便はありません。東京に暮らす両親が訪れることがありますが、両親も元々北海道にいたので全然抵抗はないみたいです。食べ物も美味しいですし、住み心地の良いところだなと思っています。

画像:ここの薪窯から生まれた作品が展示されているギャラリー

移住を考えている方へメッセージをお願いします

<僕の住んでいる周東町は移住者に対してオープンな土地柄で、閉鎖的な雰囲気はありません。それに、「若い人を応援したい」と言ってくださる方がすごく多いんです。
僕が陶芸家として頑張っていることに目をかけてくれる人も多く、おかげで活動しやすいなと感じています。都会ではチャンスは多いですが、一方でライバルも多く、埋もれてしまいがち。でも、地方では活動していることを見つけてもらいやすい。チャンスを掴める可能性があるなと思います。今はインターネットなど発信の方法はたくさんありますので、暮らしやすい環境の中で活動できるのは良いですね。陶芸に限らず、何かに挑戦しようと思っている方には、地方を拠点にすることも選択肢としてお勧めしたいです。

ドゥマンジュ ニコラ湧太さん

どぅまんじゅ・にこらゆうた/岩国市在住

東京都出身。都内の企業で働いていたが、陶芸への思いが強くなり、28歳の時に陶芸家を目指すため名古屋高等技術専門校窯業校に入学する。卒業後、岩国市にある「アートの郷 薪窯研究所」に所属。お寺の境内に建てられた薪窯で、田村悟朗氏の指導を受けながら陶芸の技術を磨いている。

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