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移住者体験談

野田 貴史

県外へのアクセスが良いので暮らしと仕事が両立しやすいです。

  • 山口市
  • 野田 貴史
  • 起業・創業
野田 貴史

移住を考えたきっかけはなんですか?

僕は下関市の生まれで、Uターンする前は福岡県でデザイナーとして働いていました。
2019年にフリーランスに転向したことで、場所を選ばない働き方が可能になりました。ちょうどその頃に結婚して、今後の生活や暮らし方について考えるようにもなったんです。僕も妻も20代から都市部を拠点に働いてきたのですが、「ゆくゆくは田舎でのんびり暮らせたら良いな」というイメージを持っていました。
そんな話をしている中でコロナ禍に突入し、外出制限がかかり、外に出ることが少なくなりました。息苦しさを感じたことで、あらためて夫婦で話し合い、具体的に移住を考え始めました。妻は会社勤めでしたが、リモートワークができる環境だったので、夫婦そろって仕事を変えずに住む場所だけを移動できたら良いなという考えでした。
最初は、福岡県の糸島市や、うきは市で空き家を探していたのですが、僕たちの仕事や帰省のことを考えると、新幹線や飛行機などを使ったアクセスの良さが結構重要だったので、山口県まで対象を広げていきました。

TARUKOTO designの制作環境

移住するにあたって、準備したことを教えてください。

まずは、とにかくたくさん調べました。県や市町の移住関係のサイトを片端から見たり、移住経験者の個人ブログで「やっておいた方が良いこと」や使える補助金をチェックして、必要な書類を早めに準備しておいたことは後々役に立ちました。
実際に「山口市空き家バンク改修事業補助金」と「山口市UJIターン創業者支援補助金」の2つの補助金制度を利用しました。
家探しの時は空き家バンクを活用したほか、インターネットで物件を調べて不動産会社に問い合わせたりもしました。旅行感覚で訪れるのと、実際に住んでみるのとでは感覚が違うだろうなと思ったので、山口市の「お試し暮らし住宅」も利用しましたね。1週間ほど山口市秋穂二島地域に滞在しました。その際、定住促進課の方や地域の方々と話す中で、移住者を歓迎してくださっている雰囲気を感じ、なんだかほっとしたことを覚えています。
今の家に出会うまでに、実際に空き家を15軒ぐらい見学したのですが、やっぱり実際に見てみると「程良く安くて、広くて、住みやすそうな家」って、なかなか見つからないんですよね。家探しは時間がかかりました。ただ、「無理して移住するくらいなら、このまま福岡県に住み続けよう」という気持ちだったので、焦ることはありませんでした。福岡県での暮らしに不満があったわけではなく、いつまでに決めなければならないという期限もなかったので、じっくり時間をかけて考えられたのは良かったと思います。
あと、準備ではないんですが、今住んでいる家の内覧は、家主さんが立ち会ってくださったんです。どんなふうに誰が住まわれていたか、家の話をいろいろ聞かせていただきました。物件の購入が決まった時も、家主さんがご近所さんへの挨拶回りについて来てくださったので、とても心強かったです。
2021年の夏に家を購入することが決まり、その後、母屋の改修をして、実際に住み始めたのは2022年の春からでした。

画像:インタビューを受ける野田 貴史さん

実際に山口市に暮らしてみてどうですか?

朝から晩まで静かだし、自然豊かで、福岡県での暮らしとは全然違う生活環境になりました。不便な部分ももちろんありますが、それも含めて楽しんでいます。庭の畑の畝をトラクターで整備していただいたり、野菜やお花をいただいたりと、ご近所さんにも良くしていただいています。庭の畑では、季節の野菜を育てています。今まで自分たちで野菜を作ったことなんてなかったので、日々成長していく様子を見るのがとても楽しいです。
移住してからも在宅ワークであることに変わりはないので、生活のリズムに大きな変化はありませんが、食事については大きく変わりました。都市部で暮らしていた頃は外食や宅配食を利用することも多かったのですが、今は庭の畑や近隣の新鮮な野菜を使って自炊することがほとんどです。
また、仕事上、福岡県に行く機会が多いので、交通アクセスが良いことはすごくありがたいです。今、住んでいる秋穂二島地域は、新山口駅まで車で15分ほど。宇部空港へ行くにも遠くないし、駐車場は広くて安い。福岡県での田舎暮らしとなると、なかなかそうはいかないと思います。そんな山口市は僕たちにとってちょうど良かったんです。

野田さんのお仕事について教えてください。

「TARUKOTO design」という名前で、Web制作とグラフィックデザインを仕事としています。「TARUKOTO」の名前は、老子が残した言葉「吾唯知足(われただたるをしる)」が由来です。物事の本質に目を向けて「足るを知る」、本来の魅力を引き出すことをコンセプトとしています。
現在は県外からの仕事がメインですが、今後は、山口県や山口市の仕事もできたら良いなと思っています。ちょっとしたことでも、暮らしの中で「デザイン」が役に立つことはあると思うので、少しずつ関わりを持てると嬉しいです。

画像:野田さんの制作風景

移住を考えている方へアドバイスをお願いします。

僕たちは今の暮らしが気に入っていますが、都会で住み慣れた方にとっては、やっぱり田舎は不便だと感じることも多いと思います。飲食店やスーパーもやはり車がないとなかなか利用しづらい距離だし、虫も多いです(笑)。そういったところも含めて、田舎での暮らしを楽しめるかどうかは大きなポイントだと思います。「お試し暮らし」をしてみたり、観光地じゃないところに長期間滞在したり、事前に日常生活を体験してみるのは良いかもしれません。
それから、古民家に住みたいという場合は準備が想像以上に大変です。僕たちもそうだったように、なかなか自分たちの希望条件に合った物件を見つけるのは難しい。探し始めた当初は、現実に打ちのめされました(笑)。しばらく人が住んでいない空き家の大半はすぐに住める状態ではないので、家を買った後も改修が必要なことが多いです。お金も時間もかかりますし、細かな事務手続きもしなければならない。そういった過程があることを見越して、しっかり準備をしていくことが大切かなと思います。

野田 貴史さん

のだ・たかし/山口市在住

下関市出身。Uターン前は福岡県で生活していたが、2019年にフリーランスに転向して働く場所を選ばなくなったことをきっかけに、今後の生活について考えるようになり、夫婦で地方での移住を考え始める。2021年に山口県山口市への移住を決め、2022年3月より新居での生活をスタート。現在は山口市を拠点として、県内外のデザインの仕事に取り組んでいる。

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