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移住者体験談

新方千寿子

豊かな自然や歴史・文化、利便性が調和した萩市は、とても住みやすい環境です。

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新方千寿子

移住される前はどちらにいらしたのですか?

スウェーデンです。大学を卒業後、予備校に約2年間勤務した後、以前から興味のあったスウェーデンに渡り、スウェーデン語の夏期講習に参加しました。2ヶ月のプログラムが終わり、一旦日本に戻ってきたのですが、やはりスウェーデンが恋しくて…。思い切ってスウェーデンへの移住を決意しました。その後、当時ストックホルム大学で日本語や日本文学を学んでいたスウェーデン人の夫と知り合い結婚、双子の男の子を出産しました。子どもたちが4歳になったころ、日本から母を呼び寄せ、ストックホルムで家族5人での生活を始めました。その後、子育てをするなら人口が少なくて自然豊かな田舎がいいなと考えて、スウェーデン内陸部にある小さな町に引っ越しました。

日本への移住を考えられたきっかけを教えてください。

子どもたちが大学に進学して家を出たこと、同居していた母が亡くなったこと、夫の退職などの大きなライフイベントが重なったことが、移住を考えるきっかけになりました。ちょうどその頃、町から郵便局や銀行、電車などが姿を消していき、生活に少し不便さを感じるようになっていったことも、一層拍車をかけたように思います。また、もっと暖かい場所で老後を過ごしたいと思うようになったこと、そして、日本での配送を担当してくれていた協力者を失い、開店休業状態になっていた北欧アンティーク雑貨のオンラインショップに、もう一度力を入れたいとの思いもあって、日本へ移住することを決めました。日本文化に関心があり、何度も来日したことがある夫も、日本への移住には快く賛成してくれました。

画像:山口県へのIターンで開業・創業した先輩 仕事風景 その2

どのようにして現在の家を探されたのですか?

夫のリクエストで、なるべく海に近い静かな場所を探していました。海の近くを希望したのは、スウェーデンに住んでいた頃にはなかなか手に入らなかった、新鮮な魚を食べたかったからです(笑)。また、夫婦二人暮らしなので、家も庭もあまり広すぎず、掃除や管理がしやすい物件がいいなと思っていました。そこで、海が近くにある暖かい場所を求めて、インターネットで沖縄、九州、中国地方と探していくうちに、萩市の定住総合相談窓口で管理している「萩暮らし応援サイト」から空き家情報バンク制度のことを知りました。検索するうちにピンときたのが、現在住んでいる築40年の家です。2013年の秋に、家を見学するために初めて萩を訪れました。海が近くにある立地や風情のある町並みをとても気に入り、ほかの物件は見ずに一発でこの家に決めました。そして、2014年8月に萩に移住してきました。

移住にあたって不安はありませんでしたか?

夫が日本語をあまり話せないということくらいでしょうか(笑)。私自身はそんなに深く考えるタイプではないので、特に大きな不安はありませんでしたね。強いて言えば、スウェーデン暮らしが長かったせいで、日本の暮らしに馴染めるかどうか不安だったということ。でも、ご近所の皆さんが温かく迎えてくださったので、安心して新しい生活を始めることができました。

画像:山口県へのIターンで開業・創業した先輩 仕事風景 その3

オンラインショップはどうなりましたか?

移住するにあたってネット通販をもっと充実させていこうという考えがあったので、引っ越してすぐに萩商工会議所が主催する起業セミナーに参加しました。セミナーを受けているうちに、オンラインショップの信頼度を高めるために実店鋪を持ちたいという夢が徐々に膨らんでいきました。そうこうしているうちに、自宅近くにたまたま店鋪向きの古民家があることを知り、これも何かの縁だろうと、実店鋪をオープンすることを決めました。少しずつ準備を進め、2015年4月に実店鋪「北欧アンティークギャラリー ルミナリア」をオープンしました。現在は、1940〜70年代に作られたキッチン用品などの北欧のアンティーク雑貨を、インターネットと実店鋪の両方で販売しています。今後は、北欧の陶磁器類も充実させていきたいと考えています。ただ飾って眺めるだけでなく、丈夫で使いやすい実用的な北欧アンティークを通して、豊かなライフスタイルを提案できたらいいなと思っています。

移住先での暮らしはいかがですか?

魚はもちろん、野菜も新鮮で安くておいしいのがうれしいです。スウェーデンに住んでいたころは、車を持っていないと不便でしたが、ここは歩いていける距離にスーパーや病院などが揃っているので、とても便利です。買い物から帰ってくると近所の人に「おかえり」と言われたり、通りすがりの子どもに「こんにちは」と挨拶をされたりするので、温かい気持ちになりますね。夫も、町を散策したり、釣りに出掛けたりと、萩での生活を楽しんでいるようです。ただ、もう少し温暖なところだと想像していたみたいで、冬の寒さはちょっと誤算だったようです(笑)。

画像:山口県へのIターンで開業・創業した先輩 仕事風景 その4

最後に、萩に移住を考えている方へのアドバイスをお願いします。

萩は、子育てをするのに最適な場所だと思います。ぜひ、20〜30代の子育て世代で移住を考えている方にもおすすめしたい町ですね。自然が豊かで、歴史的にも文化的にも恵まれていて、まちのサイズ感もちょうどいいと思います。これからも萩のいいところを見つけながら、地域が盛り上がるお手伝いをしていきたいなと思います。

新方千寿子さん

にいがた・ちずこ/萩市在住

57歳。埼玉県生まれ。立教大学を卒業後、予備校に2年間勤務。1988年スウェーデンに移住。スウェーデン人の夫と結婚、双子を出産。2011年、日本向けの北欧アンティーク雑貨のオンラインショップを開設。26年間の北欧生活の後、2014年日本に帰国。夫婦で萩市に移住し、北欧アンティークギャラリー「ルミナリア」をオープン。

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