【レポート】12月14日開催 YYターン!セミナー
- YY!ターンセミナー
- 2024.12.14
空き家の発見奮闘記!地方移住住まい探しの秘訣!
第5回目となる今回のセミナーのテーマは「空き家の発見奮闘記!地方移住 住まい探しの秘訣!」。周防大島町と美祢市に移住され、古民家を改修したゲストハウスを営んでおられる淺野さんご夫妻と井上さんをゲストに迎え、移住のきっかけや家を見つけるまでの経緯、その後の注意点などをお話しいただきました。
「縁が繋いだ住まい探し!ゲストハウス開業の夢を周防大島で実現!」
淺野 則孝さん・純子さん夫妻
ゲストハウス奈々々萌オーナー/大阪府出身
子育てが一段落したタイミングで、「次のステージ」を求め、移住を考え始めた淺野さん夫妻。神戸から周防大島町への移住の道のりは長く、5年の年月を要しました。
きっかけは、サッカーで山口県の高校に進学した子どもが、合宿で行った周防大島町の風景写真。素敵な場所だなと印象に残っていたそうです。
2014年、周防大島町主催の移住体験ツアーに参加したお二人。ツアーでは先輩移住者さんや島の人々が優しく、「よう、来んさったね!」と心から温かく迎えてくれたそうで、他の移住フェアなどで訪れたところとは感触が違ったそうです。このような体験から移住先を周防大島町に定め、家を探すことを決意されました。
子どものサッカーを応援しにいくタイミングなどを利用して周防大島に何度も足を運び、5年ほど家探しを続けましたが、ぴったりの物件はなかなか見つかりません。「島暮ら荘」という移住体験プログラムを利用した1ヶ月の長期滞在も空振りに終わり、明日神戸に帰ろうという夜に家探しで知り合った方に偶然出会い、「残念ながら今回も家は見つかりませんでした」と報告をすると、「うちの会社の社宅の部屋が空いてるから、そこに住んでもう少し探してみたら?」という話をもらい、すぐに社宅へ引っ越しました。
すると4日目に、人づてで運命の家が見つかりました。「縁がつながると早い!」という、奇跡のような展開でした。
それから10年ほど空き家だったという古民家を2年かけて改修。建築士だった則孝さんの知識を活かしつつ、夫婦二人でひとつずつ作業を進め、2021年6月にゲストハウス「奈々々萌(なななもえ)」をオープンしました。名前の由来はハワイ語で、「夢を忘れないで」と言う意味が込められています。
「そろそろ根を下ろしたいと選んだ場所は、ないものだらけで、チャンスがある場所でした。」
井上 義章さん
アオイロ。プランニング代表/山口市出身
転勤が多い製薬メーカーに勤務し、営業の仕事をされていた井上さん。3年ごとに賃貸マンションを移り住む根無草のような生活をしていたところでコロナ禍となり、自宅で仕事をすることが多くなった際に、「そろそろどこかに根を下ろしたい」という思いが芽生えました。広島、東京、北海道と全国を渡り歩く中で、心の中には常に「自分の居場所」を求める気持ちがあったそうです。
転機が訪れたのは、たまたま仕事で美祢市に来た時に、居酒屋で出会った方から地域おこし協力隊の制度を聞いたことから。それから半年も経たずに勤めていた会社を辞め、移住を決意されました。
2021年から地域おこし協力隊として、秋吉台近くにある別府弁天池エリアの魅力発信業務に従事。セールスマンとして培ってきた経験を活かして、弁天池の水を使った琥珀糖やビールといった新商品の開発や情報発信に取り組まれました。そのほかにも「つながる森のマルシェ」や「大人の運動会」といったイベントも企画。移住・定住の仕事にも携わりました。
3年の任期が近づくにつれ、「地域おこし協力隊の卒業後は何をしよう?美祢市に足りないものは何だろう?」と次に何を始めるかを探すようになりました。コロナ禍で宿がなくなり、人が集まる場所も減ってしまったことから、レンタルスペースやゲストハウスはどうかなと考え始めたのもこの頃だそうです。
そんな中、地域のために使うのなら、自分の家を譲ってもいいという話をもらい、勢いで古民家を購入。別府弁天池から徒歩5分の距離にある蔵付きの一軒家は6年間空き家だったため、それなりに修復が必要でしたが、家の周りの木を切ったり床を張り替えたりという作業も、地域の多くの方に手伝ってもらいました。最後はクラウドファンディングで支援を受け、見事完成。
一棟貸切のゲストハウス「アオイロ」は、屋内にテントを張り、寝袋で寝るというキャンプ感覚を楽しめるユニークな宿泊施設として好評を得ています。
「気になるアレ、教えて!」
移住に関するよくある疑問に一問一答
Q:それぞれの場所を選んだ理由を教えてください
淺野さん夫妻:周防大島に決めたのは人間関係です。縁が繋がるスピードと厚みが決め手になりました。
Q:地域おこし協力隊は行政や地域の方とパートナーシップを結んで仕事を頑張るというものだと思いますが、行政との付き合いはどうでしたか?
村井さん:大きな後押しをしてくれたのがまさに行政の存在でした。僕の姿を一番近くで見守りながら、地域に溶け込むためのバックアップをしてくださいました。また、起業に向けた具体的なアドバイスもいただき、大きな力になりました。
井上さん:「足りないものだらけの場所」だからこそ、「何でもできる可能性」を感じました。色々なことに挑戦できるチャンスがあると思い、美祢市に決めました。
Q:理想の住まいに出会うまでに行ったことを教えてください。
淺野さん夫妻:5年間なかなか理想の家に出会えませんでした。そこで「家を探してます名刺」を作成し、島で出会った人たちに渡し続けました。その結果、次の訪問時に良い物件を紹介してもらうことができました。
Q:物件探しの注意点、取得後の落とし穴などを教えてください。
淺野さん夫妻:古民家の場合、長期間空き家だったものは基礎が傷んでいることが多いので「構造」をしっかりチェックすることは大事です。ゲストハウスをやるつもりだったので上下水道か汲み取り式かの確認もしっかりしました。
井上さん:田畑が付いていて初めはラッキーと思っていたのですが、実際は草刈りなどの管理が大変で年間10万円くらい支払っています。畳2枚分はあった仏壇の処理も予想以上に大変でした。
Q:支援制度の利用や想定外の出費対策などアドバイスがあれば
淺野さん夫妻:「オカネイラズ周防大島」という地域の物々交換プラットフォームを活用して処分しました。無料で不要な物品を譲ったり、必要な物品を手に入れることができます。それを活用して家財の処分を行いました。
井上さん:50万円で家を買いましたが、家財の処分に60万円かかりました。
美祢市は支援が充実していて、例えば空き家バンク制度を活用すれば、家財の処分やリフォーム費用、宿泊施設への改修等の様々な補助金制度があります。
ただ、予想外の出費も多いので自己資金をしっかりと準備しておくことは大切です。
Q:これから空き家を探す方にメッセージがあれば
淺野さん夫妻:周防大島は、本当に素晴らしい場所ですので、ぜひ一度訪れてみてください。家探しはじっくりと冷静に。舞い上がらず、自分が本当にやりたいことを実現できる物件を見つけることが大事です。
井上さん:買う前に空き家の利用方法をしっかり考え、必要な情報を集めることが大切です。自分の足で探して、地域とのつながりを大事にしながら、新しい暮らしを作り上げていきましょう。
住まいのコンシェルジュのお話
久保 逸記さん
住まいのコンシェルジュ/公益社団法人全日本不動産協会 山口県本部
最近、空き家が増えているとはいえ、良い物件に巡り会えるかどうかは本当に「縁」に左右されます。しかし、遠方から物件を探すとなると、現地に足を運んで物件を一軒一軒見ることが難しく、非常にハードルが高いのが現実です。そんな中でも、Google Earthやスマホを活用して、現地の情報を事前にしっかりチェックできるようになり、物件探しのハードルは大きく下がっています。
多くの相談を受ける中で、特に多いのが「素人だから、物件を見るときに何をチェックすれば良いかわからない」という悩みや、「リフォーム費用がどれくらいかかるか心配」といった不安です。実際に自分の目で物件を確認することが重要ですが、その一歩を踏み出すのが不安な方も多いはず。そこでぜひ活用してほしいのが「インスペクション」という制度です。
インスペクションとは、住宅の診断で、人間の健康診断のように、建築士などの専門家が物件の状態をチェックし、リフォームに必要な費用や修繕の必要性まで詳細に評価してくれるサービスです。これを利用することで、購入前に家の状態をしっかり把握できるため、非常に有益です。料金は5万〜8万円ほど、機械を使った診断だと10万円程度になりますが、プロの目でチェックしてもらうことで、後々の不安を解消できます。
また、物件購入後の不具合に備えて「瑕疵(かし)保険」を利用することも一つの手段です。この保険は、住んだ後に家に欠陥や不具合が見つかった場合に、修繕費用を補償してくれる制度です。
「教えてコンシェルジュ!」
家探しに関するよくある疑問に一問一答
Q:どのような手順で物件探しをしたらよいですか?
A:まず最初に、自分が住みたいエリアを絞り込むことが大切です。県外から移住するとなると、物件購入は少しハードルが高いので、まずは賃貸物件を検討するのも良い方法です。気になる物件が見つかったら、業者に問い合わせて、実際に物件を見せてもらえるかどうか、アポを取って打ち合わせを進めていくのが一番の近道です。
Q:古民家を購入する際、所有者不在などの問題が発生した場合、どうしたらよいでしょうか?
A:古民家に限らず、不動産取引ではこのような問題がつきものです。不動産業者が取り扱っている中古住宅では、業者が所有権の問題を把握していることが多いため、大きなトラブルにはなりにくいですが、空き家バンクの物件は業者が絡んでいないことがほとんどです。その場合、元の所有者の親族が売主となることが多く、所有権移転がうまくいかない場合もあります。そうならないためにも、必要に応じ司法書士などの専門家を交えて、しっかり事前調査することが大切です。
Q:司法書士を選ぶ際、どのように選べばよいですか?
A:今はオンラインで登記を行える時代なので、全国どこでも良いといえますが、やはり地元の司法書士を選ぶのがベストです。地元の事情に詳しいため、売主とのやり取りや、特に高齢者が関わる場合、売却の意思確認などをスムーズに行える点で有利です。
Q:物件探しの注意点、取得後の落とし穴などを教えてください。
淺野さん夫妻:古民家の場合、長期間空き家だったものは基礎が傷んでいることが多いので「構造」をしっかりチェックすることは大事です。ゲストハウスをやるつもりだったので上下水道か汲み取り式かの確認もしっかりしました。
井上さん:田畑が付いていて初めはラッキーと思っていたのですが、実際は草刈りなどの管理が大変で年間10万円くらい支払っています。畳2枚分はあった仏壇の処理も予想以上に大変でした。
最後にコンシェルジュから一言
住まい探しにおいて最も大切なのは、業者に頼ることも重要ですが、それ以上に自分自身の足で動き、希望条件を明確に伝えることです。自分がどんな生活をしたいのか、どのエリアに住みたいのか、どんな物件が理想なのかをしっかりと業者に伝えなければ、なかなか最適な提案を受けることはできません。まずは自分の希望を整理し、それを元に業者としっかりやり取りをしていくことが、理想の住まいを見つける最善の方法です。
住まいのコンシェルジュは、県外から山口にUJIターンを考える人々に向けて、住まいに関するさまざまなサポートを行っています。気になることがあれば気軽にご相談ください。
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