2022年イベントレポート(第3回)
- YY!ターンセミナー
- 2022.09.10
2022年9月10日開催 山口をあじわうpart.2
〜山口県の郷土料理(いりこ出汁の取り方から)〜
今年度の「YY!ターンカレッジ」は「やまぐちへの入口」をコンセプトとして、「やまぐち暮らし」の魅力を発見していただいています。
第3回目となる今回のテーマは「山口をあじわうpart.2〜山口県の郷土料理(いりこ出汁の取り方から)〜」。参加者の皆さまには、「いりこ」から出汁を取り、山口県産の味噌を使った「味噌汁」と山口県の郷土料理「けんちょう」をご自宅で作っていただきました。
全国と宇部市をオンラインでつなぎ、山口県の郷土料理「けんちょう」の料理体験
今回の講師は、山口県宇部市在住の料理研究家 影山みづきさん。調理の手順をわかりやすく説明され、トークのテンポも抜群! 料理に関する豆知識もたくさん盛り込んでくださり、日々の生活に役立つ情報も満載でした。
今回は、全国からオンラインで約40名が参加。参加者の皆さまには、事前に山口県産の麦味噌といりこが、レシピとともに届けられています。「水出しいりこだし」と「水出しいりこ昆布だし」を取り、食材を切っておくなどの事前準備を済ませた状態で、料理体験は開始しました。
まずは「重ね煮味噌汁」の調理です。水出しいりこだしを使い、「重ね煮」という調理法で作りました。調理を進めながら、講師の影山さんから、いりこでだしを取る時は「水出し」をおすすめする理由や、重ね煮がもたらす効果、麦味噌の特徴などが説明され、チャットにも感想や質問が次々に投稿されました。
今回、送付した味噌は、山口県で栽培された大豆と国産の麦を使った味噌で、麹を大豆の2.5倍使っているため、非常に甘味が強く、驚かれる方も多いそうです。味噌は、麹を使えば使うほど熟成した甘い味噌ができるため、この麹の量が甘みにつながっているということです。なぜ麹を使えば甘く仕上がるかというと、麹をたくさん使うことで、熟成期間が短縮できることにあるそうです。味噌は長い熟成の間に徐々に塩味が増していくため、成熟期間が短ければ塩味は抑えられ、若くて甘い味噌が完成するのだそうです。
味噌汁の調理が一段落後、水出しいりこ昆布だしを使って「けんちょう」の調理を開始。ごま油の特性や、先にごま油を入れてから火をつける「コールドスタート」、「けんちょう」の由来などを教えてもらいました。
「けんちょう」とは、山口県では学校給食にも登場するメジャーなもので、基本的には豆腐と大根、にんじんを煮たシンプルな料理です。今ではすっかり山口県の郷土料理として知られている「けんちょう」ですが、由来には諸説あり、その一つとして、「鎌倉建長寺説」があります。鎌倉にある建長寺で作られていた豆腐と野菜を煮た料理が、その当時の流通の拠点である下関に伝わり、そこから山口県に広まって食されるようになったということです。
すると、埼玉県からの参加者から、「埼玉のけんちん汁も建長寺が由来で、同じ!」とチャットに書き込みがあり、話は盛り上がっていきました。
「けんちょう」が煮上がるまでの間は、いりこ出汁についての説明がありました。いりこには「白口いわし」と「青口いわし」の2種類があり、それぞれの特徴や味の違い、それに合う料理を話していただき、いりこの出汁がらの再活用方法も教えていただきました。この間も、チャットには、「けんちょう」に適した大根以外の野菜について質問されるなど、とても和やかな雰囲気で進みました。
完成後、それぞれ器に盛り付けてお披露目。参加者の皆さまは「おいしい!」を連発され、「山口の味」を堪能いただけたようです。
料理体験の後は、講師の影山さんがお住まいの宇部市のPRやグループに分かれての交流会が行われ、山口県に関する情報を交換。山口県の郷土料理を通じて、山口県を紹介する有意義な時間となりました。
影山 みづき(かげやま みづき)氏
Midukitchen合同会社代表 ていねいごはん教室主宰
料理研究家・フードコーディネーター
出産を機に食の大切さに気付き、大手スクールや教室、割烹で食を学ぶ。2013年から料理教室を主宰。
小学生から大人まで幅広い層に向けた出汁教室や、発酵食と和食の料理教室を開催し、生徒数は延べ1万名以上。
企業や飲食店などで出張料理教室やレシピ開発も行う。メディアなどにも多数出演。宇部市在住。