Vol.42023.12.15
Vol.42023.12.15
大竹 翔三さん(35)
移住前の居住地
:埼玉県移住前の仕事
:IT関係会社員移住後の居住地
:山口県宇部市移住後の仕事
:IT関係会社員初めて旅行で訪れて以来10年以上、休みの度に山口に足を運んでいたという大竹翔三さん。移住する前から行きつけのバーがいくつもあり、飲み仲間もたくさんいたのだそう。「どこに行ってもそれなりに順応できる。飲み屋街を歩けば、2時間後には誰かと肩を組んでる(笑)」と話すほど打ち解け上手な大竹さんですが、実際に移住に向けて行動に移すには数年を要しており、慎重な判断をされるタイプでもあるようです。お話を伺うほどに、責任感が強いお人柄であることも分かり…。今回は、東京で働いていた勤勉なサラリーマンが、生活を一変させる決断に踏み切った等身大ストーリーをお届けします。
山口県を初めて訪れたのは10年以上前。周南市文化会館で開催された好きなアイドルのライブを観覧するためでした。そのアイドルのライブのために全国各地を訪れ、現地でおいしいものを食べたりお酒を飲んだりすることが好きだった大竹さん。特に宇部市は、行きつけの飲み屋や飲み仲間ができたことで、休みを使って頻繁に「通う」ようになり、どんどん好きになってしまったそう。
「移住前は、朝は7時に家を出て、残業して家に着くのは21時や22時…という暮らしを新卒で働き始めてから8年ほど続けていました。埼玉の自宅から東京都内の勤務先までの通勤時間は1時間半以上。満員電車での通勤はけっこうしんどくて、山口に移住するのもいいかなと思い始めたんです」
山口移住を意識し始めたのは2017年春頃。そして、同年秋頃にインターネットで「宇部 移住」「山口 移住」と調べている時に見つけたのが、東京・有楽町にある山口県の移住相談窓口「やまぐち暮らし東京支援センター」でした。仕事帰りに寄りやすい立地ということもあり、窓口を訪れた大竹さん。相談員の平尾さんからいろいろな情報を得たり、移住の先輩や移住希望者とのつながりを持つきっかけになったとのこと。
何度も訪れ、大好きなその町への移住に思いを馳せながらも、実行に移すまでに数年を要したのはなぜでしょうか。
「まず、親を残しておいていいのかという迷いがありました。蓋を開けてみたら家族には反対されることなく、“あぁやっぱりね”とすんなり受け入れてくれましたが。それより移住に踏み出せなかった一番の理由は、会社を辞めづらい状況だったこと。後輩の社員が多くいた一方、私と同年代、少し上の世代がちょうどぽっかりといない状況で。自分まで抜けてしまって良いんだろうかと…」
責任感から会社を退職する決断がなかなかできず、自らを取り巻く環境をどう整理するべきか悩んでいた大竹さん。移住はしたいけれど会社を辞められないと悩み続けていた2019年大晦日の夜のことです。
宇部にある行きつけのバーでその年最後の夜を過ごしていた大竹さんの前に一人の女性が現れます。その女性は、
「二十歳になったら、こんな場所に来てみたかったんです」
そう言って、清水の舞台から飛び降りるかのような覚悟を決めて、大晦日のバーのドアを押したことを明かしてくれたそう。
「確かに初めて入るバーは誰でも少し緊張しますよね。しかも一人で。若いのに行動力あるなと感動してしまったと同時に、あれ?俺は…引っ越す引っ越すって言い続けて、全然行動してない!」
まもなく大竹さんは、彼女の行動力を見習って辞表を提出。ついに移住へと動き始めたのでした。
ちなみにその後、その女性を宇部のバーで見かけたことはないそうです―。
前職はセキュリティー管理の厳しい業務が多かったため、リモートワークは難しいと考えて退職。転職活動をスタートしますが、ここでもすでに宇部で育んできた人脈がプラスに。「有楽町の『やまぐち暮らし東京支援センター』で開かれた『やまぐち暮らし夜の相談会in東京』という移住相談会で出会ったのですが、WEB制作などを事業にする今の会社の社長が山口出身で。東京、大阪、山口に事業所をおく会社なのですが、お誘いを受け、転職がスムーズに決まりました」
住まい探しについては。
「最初はインターネットで見つけた物件があったのですが、内見したら図面で見ていた間取りと全然違って。飛行機に乗ってわざわざ足を運んだのに、おいおい!という困った状況だったんです。でも、山口の飲み仲間のうちにあの人に相談してみよう、と思い出す人がいて。すぐ連絡したらしっかりした不動産屋とよい物件を紹介してもらえたんですよね。これまで築いてきた飲み友コネクションに助けられて、家も無事に決まりました」
平尾さんからの紹介で、移住者向けの家賃補助制度も活用(『宇部市若者・子育て世代誘致家賃助成金』をご参考に)。大竹さんは「たとえ家賃補助がなくても移住するつもりだったけど、やっぱりあると助かる。おかげで飲みに行ける回数が増えました!」と笑顔で話してくれました。
空港が近く利便性が高いのも、宇部市移住への決め手になりました。現在の住居から空港までは車で約10分という近さ。
「現在も出張で東京に行く機会が多いので、飛行機のアクセスが良いのは最高に便利です。例えば、昼前に宇部の自宅を出ても日中のうちに都内のクライアント先に到着できる。宇部空港は駐車場が無料なのも素晴らしい。東京との距離はあまり感じないですね」
また、山口県は道路網が非常に整備されているため、車での都市間移動が楽なのもポイントだそう。ドライブが大好きなので、角島など県内に点在する観光スポットを目指してあちこち旅することを楽しんでいます。
東京で満員電車に揺られる毎日と比べて生活は激変。リモート勤務がメインのため、通勤のストレスは一切なし。行きつけのバーやお気に入りのご飯屋さんが、自宅から徒歩圏内にいくつもある。飲みに出かけても終電は気にしなくてOK。車や自転車、そして楽器のカホン、ウイスキーなどなど…。多趣味で、充実したプライベートライフを思いっきり満喫しています。
「東京で働いていたけど、東京でショッピングを楽しんだり、遊んだり、ということにはあまり関心はなかったですね。大都市に特に未練はなかったです。宇部は普段の買い物には不便さを感じません。趣味でやっている楽器など、直接見て買いたいけれど山口では手に入りにくいものというのはありますが、そういうのは時々出張で行く東京で」
移住を決める前から山口県に足繁く通い、行きつけの店や常連仲間も多くいた大竹さん。現地を熟知していたため、イメージと実際の暮らしにギャップは全くなかったし、知らない土地で一人暮らす寂しさも感じることはなかったそう。数年間にわたって迷い悩んだ末に移住を決めた大竹さんから、ポジティブなメッセージをいただきました。
「退職するまで何年も悩みましたが、いったん辞表を出してしまったら何を悩んでいたのか不思議なほどあっけなくことは進み、気持ちも切り替わって。もっと早く辞めて切り替えればよかったじゃん!て思いました。高いと思い込んでいたハードルは、実際は低かったんです。悩むより、とりあえず移住しちゃいましょう(笑)」
大竹さんも訪れた東京・有楽町の移住相談窓口・やまぐち暮らし東京支援センターは、ただ山口のことを聞いてみたい方でも大丈夫。お気軽に足を運んでみてください。そのほか、オンラインでも相談を受け付けていますので、お近くにお住まいでない場合やお時間がなかなか取れない方でもお気軽にお問い合わせを。