Vol.62024.6.11
Vol.62024.6.11
フラヴィエン・
バルビエさん(27)
バルビエ 萌さん(27)
移住前の居住地
:兵庫県神戸市移住前の仕事
:フラヴィエンさん 産業ガス会社 エンジニア/萌さん ミネラルウォーター製造販売会社 事務移住後の居住地
:山口県光市移住後の仕事
:フラヴィエンさん 製薬会社 エンジニア/萌さん 食品小売会社 電話営業(移住の少し前に転職)移住を考える時、多くの方にとってもっとも大きな懸案事項は「仕事」ではないでしょうか。今回は、「転職」と「移住」を夫婦が同時に果たしたひとつのケースとして、山口県光市にお住まいのカップルにお話を伺いました。二人の出会いと運命の発展も交えつつ、それぞれの「仕事と移住」について詳しくご紹介します。
まずはフラヴィエンさんのご経歴について。フラヴィエンさんはフランスのご出身ですが、群馬大学に留学したことがきっかけで日本との関係ができ、そのまま日本で就職することとなったそう。
「フランスの大学では、機械工学と計算機工学の両方にまたがる領域で研究していました。同時に在学中からベンチャーを立ち上げて医療機器の開発をしたり、パリ天文台のビッグデータ解析の仕事をしたりもしていて。その後群馬大学に1年留学しまして。このまま日本に暮らしたいと思うようになりました。それで、産業ガス大手で神戸に本社がある日本エア・リキードに職を見つけ就職しました」
「エア・リキードでは『予知保全』というシステムの開発にあたっていました。設備機器が問題なく作動するようにモニタリングするシステムなのですが、AIの技術が応用されています」
確かに、世界的に人材獲得競争の激しそうな職域です。にもまして、フラヴィエンさんの日本語力に脱帽する取材チーム…。
萌さんは、生まれも育ちもコテコテの大阪人。最初の就職は、京都銘菓「千寿せんべい」で有名な、株式会社鼓月でした。当時は大阪府内の百貨店の販売員として忙しい日々を送っていたとのこと。
「人と話すのが好きなので、販売・接客をやりたかったんです。最初のお店で2年働いて副店長に昇格。異動して別の店舗で1年間ほど勤務しました。その後、他の業界にもチャレンジしたくなり、昔からアートに興味があったこともあって、次は大阪の画廊に就職しました。⾄峰堂画廊といって、近現代からコンテンポラリーまで多数の作家の作品を取り扱っている画廊です。絵画の販売も担当しつつ、補修や管理、百貨店等との取引業務、秘書業務など幅広く経験させてもらいました」
好きと興味に忠実な萌さんの仕事選び、ストレートですね。
まだ山口県までたどりついていないですが、ここで少し回り道。お二人はどこで出会ったのでしょうか。
フラヴィエンさん&萌さん「出会い系アプリです(笑)」
萌さん「フラヴィエンが群馬大学に通っていた頃、冬休みに入ったタイミングで大阪に観光に来たんです。その時(笑)。大阪に来ていた1週間、なんだかんだで毎日大阪を案内して。最終日に付き合うことになりました」
運命ってありますね。ふんふんなるほど、フラヴィエンさんが留学期間を終えられても日本に暮らしたいと思った理由のひとつは、きっと萌さんに違いない…がしかし!二人を引き裂くさらなる運命が待ち受ける…
「群馬大学を出て、神戸のエア・リキードに就職をするまでの合間、フラヴィエンはしばらくフランスに戻っていたんです。そこで運悪くコロナ禍が始まってしまって。フランスから彼が帰ってくることができないまま、なんと2年が経ってしまっていました。で『これはあかん、私が行くしかない』と、私がフランスに向かいました」
コロナ禍で入国制限が厳しかった頃は就労ビザを持っていても日本へ入国できなかったのだそう。しばらくして配偶者ビザなら入国できると知った萌さんは、その手続きのためにフランスに渡ったわけです。そうこうしているうちに制限が緩和され、就業ビザでも日本に入国できることになり二人揃っての無事帰国となったそうですが、それにしても2年も離れ離れだったとは、想像するだに切ない!
ちなみに取材後、お二人それぞれどこに惹かれたのですか?とLINEで聞いてみましたが、長文が返ってきたので聞いといてアレですが割愛します♥
いよいよ神戸での二人の暮らしが始まります。
フラヴィエンさん「エア・リキ―ドでの仕事は充実はしていたのですが、神戸のような大都市の生活はちょっと疲れました。群馬がとてもいいところだったんですよね。フランスでも田舎で育ったこともあって、やはり自然が豊かな場所で暮らしたいといっそう強く思うようになりました」
萌さん「フラヴィエンが神戸で働くことになったので、私も神戸の会社に転職しました。
温泉施設の経営とミネラルウォーターの販売をしている会社です。二人で住み始めた神戸の家から歩いて10分で行けたのが応募した一番の理由!私はウォーターサーバーの配送管理など事務業務を担当しました。本当は接客の仕事を続けたい思いもあったんですが、だんだん立ち仕事が辛くなってきていたのも事実で…。身体の負担を減らしたかったので、勤務日も毎日ではなく週3日にしてもらいました」
ここで画廊勤務時代に得ていた事務業務の経験が活きたのは明らか。萌さんのなんとも縦横無尽な働き方に驚くばかりです。フラヴィエンさんにしても萌さんにしても、詰め込んであくせく働くのでなく、自分のペースをよく見極めた働き方を模索しているところも共感します。
さて、田舎へ、の思いを強めたフラヴィエンさんは転職活動を始めます。
「Linked inにプロフィールと経歴を書いていたら、あるエージェントから連絡がきたんです。英語と、日本語でも書いていたのが日本で働けるというアピールにもなったんだと思います。エージェントから『武田薬品が山口県光市の工場でAIの開発にあたれるエンジニアを募集しているがどうか?』と提案されました。光市には武田薬品工業の大規模な製造拠点があります。東京の仕事のオファーもあったのですが、山口なら僕が希望していた田舎暮らしもできそうだし、仕事の内容も面白そうだと思ってこの話をお受けしました」
萌さんの転職活動はどのようにしたのでしょう。
萌さん「光市の話が出て、どんなところだろう…と光市役所のホームページを見ていたら、移住に関して色々な支援金があることを知りました。たとえば移住の下見に山口まで行くのに交通費が補助される、とかですね (※1)。移住相談窓口のやまぐち暮らし東京支援センターに連絡をしたら、相談員の方に他にも色々と情報をいただけて」(※1)YY!ターン支援交通費補助金
さらに相談員から、仕事に関して「テレワーク移住支援金」という制度があると聞いた萌さん。
「移住前からテレワークの仕事をしていて、山口県へ移住後もその仕事を継続していれば、支援金として一世帯50万円が支給されるという制度(※2)のお話を伺ったんです。それならばと、すぐにでもスタートできるフルリモートの仕事を探そうと考えて、求人サイトのIndeedなどをあたってみました。会社の所在地はどこであろうと関係ないので『フルリモート』とだけ検索キーワードを入れて、気になる求人情報をチェックしていきました」(※2)テレワーク移住支援金(諸条件ありますのでぜひお問い合わせを!)
「運良く電話営業の仕事を見つけることができました。『わくわく広場』という、道の駅のようなコンセプトの、食品などを販売するお店が全国に多数あるのですがその運営会社の仕事です。各地の生産者やメーカーさん、レストランなどに電話をかけて、商品を『わくわく広場』で販売しませんかとお声がけするパートナー開発がミッション。1日の拘束時間も短く、接客・販売の経験も活かせて、私にはぴったりのスタイルでした」
こうしてお二人ともに仕事をしっかり確保しての山口移住となりました。テレワーク移住というスタイルに関しては、興味を抱いてらっしゃる方も少なくないはず。こちらのサイトでは、山口県へのテレワーク移住情報がたくさん発信されています。>>山口県テレワーク・ワーケーション総合案内サイト<<ぜひチェックしてみてください。
さて、仕事の次に気になるのはやはり「住まい」ですよね。
現在お二人は、光市の2階建ての賃貸戸建物件にお住まいなのだそう。神戸で住んでいたところと比べていかがでしょう。
萌さん「住みやすくなりました。神戸にいたときも割と広めのマンションに住んでいて、76㎡くらいあったと思いますが、山口の家はもっと広くなって。こちらはしっかり覚えているのですが99.57㎡です(笑)。夫は背が高いので、鴨居などに頭がぶつからないよう天井の高い家を希望していたので、それもクリアできてよかったです」
単刀直入に、お家賃はいかほど…?
萌さん「神戸はどこのエリアも高めでしたね。私たちが住んでいたマンションのもともとの家賃も16万円でした。山口の家は駐車場を含めて8万5,000円。フラヴィエンの会社からの家賃補助もあり、実費は5万円まで抑えられています。スーパーへも自転車で行けるので便利な場所です」
光市でバルビエさんたちが住んでいるような一軒家が賃貸に出ることはあまりないそうですが、たまたまタイミングよく出た物件で不動産屋としても激推し物件だったとのこと。運も引き寄せたわけですね!
山口県に住むようになって、ライフスタイルは変わりましたか?
フラヴィエンさん「とにかく残業がなくなったのが嬉しいです(笑)。自分の時間もしっかり持てるようになりました」
萌さん「私も時間に余裕ができるようになったので、今はお菓子作りや料理にハマっています。基本的に私たちはインドア派なのですが、歩くのは好き。カフェ巡りやピクニックにはよく出かけます。この春は近所の島田川河川公園でお花見をしたり、発信キッチンという素敵なカフェで夫とデートしたりしました。もっと色々なところに行ってみたいですね。足を伸ばして、九州を開拓できたらいいかも」
おふたりとも、現在の移動手段は基本的に自転車。日常生活はそれで事足りているとのことでした。でも、近いうちにカーシェアリングで生活範囲を広げてみたいと話してくれました。
群馬を愛したフランス人、フラヴィエンさん。生まれも育ちもコテコテ大阪人の、萌さん。彼らが選んだのは山口県光市での穏やかな生活でした。仕事の選び取り方、ワークスタイルなども、その手があるか!と興味深いお話ばかり。移住を考えているが仕事をどうしよう…とお悩みの方は、ぜひ窓口までご相談ください!
東京・有楽町の移住相談窓口・やまぐち暮らし東京支援センターは、ただ山口のことを聞いてみたい方でも大丈夫。お気軽に足を運んでみてください。そのほか、オンラインでも相談を受け付けていますので、お近くにお住まいでない場合やお時間がなかなか取れない方でもお気軽にお問い合わせを。