Vol.22023.11.16
Vol.22023.11.26
山田 桂一郎さん(34)
侑紀さん(34)
移住前の居住地
:東京都大田区移住前の仕事
:桂一郎さん バイオマス関連会社社員/侑紀さん 警備会社社員移住後の居住地
:山口県萩市移住後の仕事
:桂一郎さん 林業関連会社社員/侑紀さん 警備会社社員結婚を機に、東京から移住、山口県萩市での新生活をスタートした山田桂一郎さんと侑紀さん夫婦。それまで安定した暮らしをしていたにもかかわらず、結婚と移住という大きな変化を同時に成し遂げてしまった二人。
若かりし頃に訪れて好印象を抱いていた萩市に住みたいと思い立った夫・桂一郎さんと、それを「どうせ引っ越すならどこでもいいじゃん」と即受け入れた妻・侑紀さん。まさか結婚という人生の一大イベントが駆り立てる勢いだけで決めたのか!?と思いきや、侑紀さんの徹底的なリサーチ力で綿密なプランの元に山口移住を実行していました。今回、あらゆる公的支援制度をフル活用した、山田さん夫婦の「おトクな移住」のお話は、すべての移住希望者にとって参考になるはずです!
結婚を機に、山口県萩市に移住した山田さん夫婦。それぞれが東京で会社員として勤めていた二人でしたが、コロナ禍での日常や結婚後の新生活を視野に入れたとき、さまざまな想いが交錯したそう。
桂一郎さん「コロナ禍だった2020年8月頃、仕事を辞めてスッキリしちゃいたいなと思い始めて。生活をガラリと180度変えてしまえるような場所で新生活を始めるのもいいかもしれないと考えました」
20代の頃に青春18切符で旅をしていた桂一郎さんが、京都から山陰本線に乗って南下し、偶然たどり着いた萩市。山も海もある自然の豊かさと、落ち着いた静かな町並みが、とても印象的だったそうです。結婚、転職、おまけに縁もゆかりもない萩に引っ越し、という桂一郎さんのめくるめく(?)提案を「いいじゃん!」とすんなり受け入れた侑紀さん。
「当初、私は申し訳ないほど萩市への思い入れはなく…。でも萩がいいというのは夫から聞いていたので、抵抗はありませんでした。というかあんまり考えたくなくて、何でもパッと終わらせたいんですよ、私は。直感でピンときたら、あとはパッパッパッみたいな(笑)。ただ当時は都内で警備員をやっていたので、災害や地震について考える機会が多かったのですが、山口県は災害や地震に強そうだなというイメージはありましたね」
2020年夏に移住を思いつき、12月に結婚、翌年2月に移住。桂一郎さんの発案と侑紀さんの思いきりのよさで萩市での新生活を決めたお二人ですが、準備段階では綿密なリサーチを実行していました。
まずはGoogleマップのストリートビューで町の雰囲気を調べたり、スーパーやコンビニ、どんなお店があるかをチェック。移住までの準備時間があまりなく、貯金する期間もほとんどなかったため、なるべく費用は抑えたいと考えた侑紀さんは、補助金などの支援制度について情報収集するため、東京・有楽町の『やまぐち暮らし東京支援センター』の相談窓口を訪れます。夫婦とも転職が必要となるため、同時に『ハローワーク 地方就職支援コーナー』で求職を申請したり、『萩市の空き家バンク』にも登録。
侑紀さん「あらゆる情報をネットで検索しましたが、有楽町の『やまぐち暮らし東京支援センター』を訪れて、そこで活用できる支援制度や補助金についてもさらに詳しく教えていただけのはよかったですね。相談員の方がフランクで面白いなっていうのも印象的。担当の方々の人柄も決め手になったことは確かです。相談窓口に行くのはおすすめです」
就職活動では、侑紀さんはハローワークの地方就職支援を活用。東京にいながら、オンラインで就職活動を進めます。これまでの経験を買われ、萩市でも警備員の職に就きました。
一方、桂一郎さんは、侑紀さんの仕事が夜遅いため「先に帰って家で迎えてあげたい」(素敵すぎます)と、明るいうちに家に帰れる林業にかかわる職を選択。GOTOトラベルの旅行割引や『ハローワークの広域求職活動費』を利用し、現地で何度か面接を受け、無事に合格しました。
萩市の空き家バンクだけでなく、住宅情報サイトなども多数見比べながら新居を探した山田さん夫婦。ペット可物件は少なく、愛猫2匹も一緒に住める家探しは簡単ではなかったそうですが、2020年10月にようやく候補となる住宅が見つかります。そして内覧のためいよいよ夫婦で現地へ!
5軒ほどの物件を内覧し、最後に訪れた家にピーンときた二人。当初は賃貸でと考えていたものの、ここで購入を決意。すぐにリフォームの手続きも開始しました。もちろん、空き家の改修費用にも萩市の『空き家改修費補助金』を活用。
移住先で内覧をするときのポイントとして「気軽に行ける距離ではないので、すみずみまで確認して写真に残しておく」、「隣家との距離感など外観も要チェックする」、「大家さんや所有者についてもできる限り情報収集しておく」といったアドバイスもいただきました。
このとき東京から萩市への移動には『YY!ターン支援交通費補助金」を活用し、市内の買い物事情や交通機関についても現地調査したそう。山陰本線の始発の遅さと終電の早さには衝撃を受けた、と侑紀さんは言います。やはり現地でなければ手に入らない情報や、感じることのできないリアルな雰囲気があったようです。
侑紀さん「すごくありきたりですけど、萩はとにかく空が広かった。日本橋のコンクリートジャングルで警備の仕事をしていたので、“空が広い!建物が低い!”と驚いたし、感動しました。あと、空気のキレイさと落ち着いた感じがすごく良いなって思いました」
2021年2月1日に住宅の売買契約を完了。愛猫2匹をいったん実家に預け、2月17日に山田さん夫婦は萩市へ上陸します。二人共通の趣味である、それぞれのバイクにまたがり、フェリーに乗り、2泊3日の長旅でした。その際、活用したのが『ハローワークの移転費』でした。フェリー代は、全額がこの補助金で賄えたそうです。
萩暮らしスタートから数年が経ったお二人にこれまでの感想を聞いてみました。
桂一郎さん「道の駅でよく買い物をするのですが、お店の方が顔を覚えてくれているみたいで、声をかけてくれるんです。東京ではこんなことなかったので、新鮮だなーって。やっぱり人と人との距離感が近いのでしょうね。あと、港町なので祭りが多くて、毎月のようにかりだされています…」
侑紀さん「引っ越しってどこでもそうだと思いますが、今風に表現すると、ご近所ガチャ、というのはありえますよね。でも私達の場合はとても素敵な出会いに恵まれました。引っ越しのその日、バイクで萩まで辿り着いたのは夜、しかも大雪だったのですが、そんなちょっと怪しげだったかもしれないよそ者を、みなさん受け入れてくれて。何でも教えてくれるご夫婦がご近所に居るのですが、奥様のほうはもう第二の母のような存在。その人たちがいなかったら、ここで生きていけなかったかも。会えば必ず声をかけてくれますし、おすそ分けで頂いた美味しい魚は丁寧にさばいて持ってきてくれました。私が魚をさばけないのはバレているようです(笑)」
二人の経験から、移住の先輩としてのアドバイスをいただきました。
桂一郎さん「思い立ったが吉日で、まずは何でもやってみることが大切。まずは相談窓口に行ってみる。相談員さんと世間話をしながら、少しずつ情報を集めて知識を深めていくのが良いと思います。それと、私の萩での新しい仕事はチェーンソーの講習を受けるのが必須だったのですが、受講できる日程や場所の選択肢が山口よりも東京のほうが断然多かったのですよね。なので、もし今都会に住んでおられる方なら、仕事に必要な資格系は移住前に取得して準備しておくといいかもしれません。地方のほうが受講や試験の機会が少なくて不便だったり、順番待ちでなかなか受講できなかったり、ということがあるようです」
侑紀さん「地元銀行の銀行口座を早めに準備した方が良いかも!引っ越しってお金かかるのに、私が使っていた都市銀行の出張所は峠を越えたところにしかなくて困りました」
現地情報も移住に関する知識もほとんどない状態からスタートした山田さん夫婦の移住計画でしたが「使えるモノは全部使いたかった」、ゆえにしっかりリサーチした、と山田さん夫婦は話します。就職活動時の面接にかかる移動費、家の内覧にかかる移動費、引っ越しの費用、家の改修費など、さまざまな公的支援制度をとにかくフル活用していました。その一方で思い切って住宅を購入、こだわりたい部分はしっかりリノベーションも、というメリハリのあるお金の使い方には脱帽。文末に山田さんの活用した情報をまとめましたので参考してみてください!
山田さんも訪れた東京・有楽町の移住相談窓口・やまぐち暮らし東京支援センターは、ただ山口のことを聞いてみたい方でも大丈夫。お気軽に足を運んでみてください。そのほか、オンラインでも相談を受け付けていますので、お近くにお住まいでない場合やお時間がなかなか取れない方でもお気軽にお問い合わせを。